大学のコスパは本当に下がっているのか?子供の教育の最終ゴールを考える

いい大学に行き、いい会社に入り、いい人生。そんな構図は描けない現代で、大学にいく意義やコスパは良いのか、を考えてみました。

「大学って昔ほどコスパ良くないよね」と感じる人が増えてきているという記事を見かけたので、今後どうなっていくのか等を含めて考えてみました。

学費は上がる、生成AIでホワイトカラーの仕事が減少する可能性、、でも大卒の方が平均年収は高い事実はあるし、“行かないリスク”もある——。

このテーマ、実は 「大学全体のコスパが下がった」 というより、
“大学間でのROI(投資対効果)の差が大きくなった” と見る方が実態に近いのではないかと思います。。

こうした議論は、物価が非常に高くなっているアメリカなどでも出ているようですが、日本は、そのまま同じ道にはなりにくい と思います。

私たちは、どういった心持ちでいるのが良いのでしょうか。


結論:今後は「大学のコスパ低下」より「コスパの二極化」が進む

今後のトレンドを一言でいうと、次のようになると予想しています。

  • 大学全体が一律に割に合わなくなるわけではない
  • 大学・学部・専攻・通学条件・就職接続で差が広がる(新卒一括採用の廃止など企業の採用方針も影響)
  • 日本では米国型の「学生ローン危機」よりも、少子化による再編・淘汰の影響が大きい

つまり、問うべきは
「大学に行くべきか?」より「どの大学のどの学部に、どんな条件で行くか?」 です。


米国も大卒は、平均ではまだ強い、でも差が大きい

米国では「大学はもう割に合わない」という言説が目立ちますが、実際には一部が顕著にそうなっているだけで、もう少し複雑です。

  • 平均的には、大学卒の収益性(ROI)はまだ高い
  • 学費は高くなっており、ローン負担も大きい
  • 専攻・卒業できるか・学費負担・卒業までの年数でリターンの差が大きい
  • 一部の人にとっては、たしかに“割に合わない”ケースもある

つまり米国は、
「大学の価値が崩壊」ではなく「大学の価値のバラツキが拡大」 している状態です。


日本は米国と同じ道をたどるのか?

似る部分(YES)

日本でも今後、次の流れはかなり進む可能性があると考えられます。

  • 家計が「費用対効果」に敏感になる
  • 大学名よりも、学部・専攻・スキル・就職接続が重要になる
  • 4年制学位だけでなく、リスキリングや学び直しの価値が上がる

似ない部分(NO)

一方で、日本の主因は米国と違います。

  • 米国:物価高騰・学生ローン負担が大きな論点
  • 日本:少子化で18歳人口が減ることが大きな論点(日本も学費高騰しているが、緩やか。無償化の政策議論もある)

そのため日本では、
「借金のしんどさ」より先に、「大学の再編・統合・機能分化」 が進みやすいです。


日本で「コスパが下がりにくい大学」の条件

ここからが本題です。

日本で今後も“コスパが下がりにくい大学”は、ざっくり言うと

質・価格・出口(就職)・アクセスを一体で設計できる大学

でしょう。

以下、政策側・大学経営側・個人進路側に分けて整理します。


1. 政策側で必要な条件(国・自治体・制度設計)

1-1. 「質・規模・アクセス」を同時に設計する

少子化の中では、大学数や定員だけを減らしても解決しません。

必要なのは、

  • 教育の質
  • 地域アクセス(進学しやすさ)
  • 規模の適正化

を同時に見ることです。

1-2. 家計負担の“見えない壁”を下げる

格差を減らすためにも、家計負担を減らす支援制度の充実は必要ですが、知られていない・使い方がわからないと意味がありません。

  • 高校生・保護者への早期周知
  • 給付・貸与・減免の違いを比較しやすくする
  • 学費だけでなく生活費も含めた支援設計

を進め、教育を求めている学生であれば、貧富に関係なく平等に機会が与えられる環境整備は必要でしょう。

1-3. 比較できる情報を標準化する

偏差値と就職率だけでは、進路判断は難しいと状況は今後も進行していくでしょう。

大学・学部を選んでいくために、以下のような指標を確認・比較できると嬉しいですね。

  • 標準年限卒業率
  • 休退学率
  • 4年間の実質負担額(学費+諸費用−支援)
  • 専攻別の進路
  • 就職先の職種・地域・定着状況

2. 大学経営側で必要な条件(大学が“残る”ための設計)

2-1. 学部設計:学問性+接続設計がある

これから強い大学は、学部名のかっこよさよりも、

  • 何が学べるか
  • 何ができるようになるか
  • 卒業後どこにつながるか

が見える大学です。

特に重要なのは、

  • 基礎→応用→実践の積み上げ設計
  • 文理横断(AI・データ・倫理・課題解決)
  • 資格+現場で使えるスキル

のような実践力が得られるかでしょう。

2-2. 就職接続:就職率より“就職の質”

さらに、スパが下がりにくい大学は、単に就職率が高いのではなく、出口の質の安定が必要です。

たとえば、

  • 地元就職・全国就職の両ルートがある
  • インターンやPBLがカリキュラムに組み込まれている
  • キャリア支援が1年次から始まる
  • 卒業生ネットワークが活きている

などです。

2-3. 学費設計:価格より「実質負担の読みやすさ」

家計にとって重要なのは「授業料」だけではありません。

強い大学は、

  • 4年間総額が見える
  • 実験実習費や追加費用が明確
  • 奨学金・減免の説明がわかりやすい
  • 途中でつまずいた時の支援がある

という特徴があります。

2-4. 地域性:生活コストまで含めて価値提案できる

コスパは学費だけで決まりません。
通学時間・家賃・交通費・バイト負担も大きく効きます。

地方大学でも、

  • 生活費が低い
  • 地元企業との接続が強い
  • 通学・住居サポートがある

なら、実質ROIはかなり高くなります。(東京一極集中ではなく、こういった大学が増えて、魅力が増大することも大事)

2-5. 社会人市場対応:18歳以外にも価値を出せる

少子化時代に、18歳新卒だけに依存する大学は厳しくなることもある程度想定されます。

そうなってくると、今後、強い大学は、

  • 夜間・週末・オンライン対応
  • マイクロクレデンシャル(小分けの学び)
  • 企業のリスキリング需要との接続
  • 短期修了→学位への積み上げ設計

ができる大学かもれしれません。


3. 個人進路側で必要な条件(受験生・保護者の見方)

3-1. 「大学名」だけでなく「学部×出口」で見る

同じ大学でも、学部・学科でコスパはかなり違います。

見るべきポイントは、大学側に提供してほしい指標として書いたものと被りますが、以下のようなものをチェックしたいですね。

  • 卒業生がどんな職種に就いているか
  • 資格取得率ではなく資格を活かした就職率
  • カリキュラムの中身が古すぎないか
  • 卒業までの支援があるか

3-2. 「実質コスト」で比較する

コスパを考えるにあたっては、教育にいくらかかったのかも重要です。授業料だけ比較すると、判断を誤りやすいので、可能な範囲で以下のように総合費用を検討しましょう。

おすすめの見方:

実質コスト = 学費総額 + 生活費 + 通学/住居コスト + 時間コスト − 給付/減免

これで見ると、地方・自宅通学・減免ありの大学が逆転することは珍しくありません。

3-3. 「入れる」より「卒業できる・伸びる」を重視する

ROIは卒業して初めて回収が始まります。

なので、

  • 初年次教育
  • 学習支援
  • メンタル支援
  • 経済支援
  • 留年・中退防止の仕組み

が整っている大学の方が、実はコスパが高いことがあります。

3-4. 地元就職をネガティブに見すぎない

初任給だけ見ると都市部が強く見えますが、
家賃・通勤・生活コストを入れると、地元就職の方が可処分所得が高いケースもあります。

また、結婚して家庭を持ち、子育てをするとなると自分や配偶者の親が近くに住んでいるのは、大きな助けになることも多いです。

また、地元では認知度も高く、信頼を得ている企業への強い接続を持っている大学もあります。

自分が望む未来を、

  • 日常生活を犠牲にしてでも、日本・世界の最前線で戦いたい。世界を飛び回りたいのか。(都市部の大学)
  • 身の丈にあった生活で、不自由を感じることなく、日常の幸せを大事にしたいのか。(地方の大学)

みたいな極端な問いでどちらが自分の思想に近いか。。などを考えてみる感じでしょうか。

SNS等でキラキラした世界の情報だけは入ってくる世の中なので、派手さはないけれど、地方での多くの人が実現可能性のある幸福な暮らし を実現するのにも教育やトレーニングがいるのかもしれません。


結局、コスパが下がりにくいのはどの大学群?

ここが気になるところだと思います。

結論を先に言うと、平均的には次の大学群はやはり強いです。

  • 国立大学の理系
  • 早稲田・慶應
  • MARCH(+関関同立など上位私大群)

理由はシンプルで、

  • 就職接続が強い
  • ブランドが初期選抜で効きやすい
  • キャリア支援や情報量が比較的豊富
  • 卒業後のネットワークが活きる

からです。

つまり、これらは 「外しにくい」 という意味でコスパ耐性が高いと言えます。


ただし、「それ以外はダメ」ではない

ここは重要です。
コスパで見ると、むしろ逆転が起きることもあります。

逆転しやすいケース

  • 地方国公立 × 自宅通学
  • 資格直結の学部(看護・医療・教員・情報など)
  • 地元就職に強い大学
  • 学費減免が厚い大学
  • 本人の適性に合っていて卒業しやすい大学

たとえば、

  • MARCHで下宿してコストが重いケース
    よりも
  • 地方国公立や地元私大で減免あり・地元就職が強いケース

の方が、実質コスパが高いことは普通にあります。


「コスパが下がりやすい大学」のサイン

進路選びの実務として、ざっくり見分けるなら次のサインは要注意です。

  • 学部の説明が抽象的で、出口が見えにくい
  • 就職率は高いが、職種や定着情報が薄い
  • 学費以外の追加費用が見えにくい
  • 奨学金・減免の案内がわかりにくい
  • 地域連携・実習・インターン導線が弱い

まとめ:これからの大学選びは「大学名」だけでは足りない

「大学は高いからコスパが悪い」「有名大学なら安心」といった単純な話では、これからの進路は判断しづらくなります。
大事なのは、“どこに入るか”より“どんな条件で、何につながる学びを選ぶか”

大学の価値がなくなるのではなく、見極めが必要な時代になった
そんなふうに捉えると、進路や教育投資の考え方が少し整理しやすくなるかもしれません。