「毎月これだけ年金を払っているけど、同じ金額を自分で投資していたら、もっと増えているのでは?」
投資を始めると、多くの人が一度は感じる疑問だと思います。
特にインフレが当たり前になりつつある今、 年金だけで本当に大丈夫なのか? という不安は自然なものです。
この記事では、
- 平均的な年金の積立額と受取額
- 同額を投資した場合のシミュレーション
- なぜ「割に合わない」と感じるのか
- それでも年金が必要な理由
- 投資と年金をどう組み合わせて考えるべきか
を整理してみます。
平均的な年金は、どれくらい積み立てているのか
モデルケースとして、分かりやすい前提を置きます。
- 年収:500万円
- 厚生年金保険料率:約18.3%
- 労使折半(本人負担+会社負担)
この場合、年間約90万円相当を年金として積み立てています(本人45万円+会社45万円)。年金定期便のハガキに書いてある金額は本人分だけですし、会社負担分は見えない構造になっていますが、私は、本来給与として社員が受け取っていていい金額だと思っています。
これを40年間続けると、
90万円 × 40年 = 約3,600万円
となり、これが私たちが年金を受け取るために支払った「積立総額」の概算となります。
受け取る年金はいくらくらいか
では今度は、いくら受け取れるのか、ですが、平均的な厚生年金の受給額は、
- 月額:約15万円前後
- 年額:約180万円
65歳から85歳(男女合計の平均寿命あたりにしましたが、、寿命は女性の方が長いので、男性はこれより短いこともあり得る)まで20年間受け取るとすると、
180万円 × 20年 = 約3,600万円
👉 非常に荒い計算ではありますが、支払いと受け取りはトントン という計算になります。
同じ金額を投資していたらどうなる?
では、同じように
- 年90万円
- 40年間
- 積立投資
をした場合はどうでしょうか。
想定利回り別の最終金額
| 年率 | 最終資産額 |
|---|---|
| 2% | 約5,400万円 |
| 4% | 約8,600万円 |
| 6% | 約1.4億円 |
長期・分散・積立投資であれば、
実質3〜5%程度を期待値として考える人も多いでしょう。
数字だけを見ると、
「やっぱり年金、割に合わなくない?」
と感じるのも無理はありません。
積立の何に投資をするかにもよりますが、4%の利回りで運用できることは、堅実なラインだと思いますので、8600万円になっていたとして、有名なトリニティスタディという研究で4%ずつ切り崩しても長期的に資金が尽きることは極めて稀であるという前提に立って切り崩すと
8600万円 × 0.04 = 344万円/年
となり、元本をある程度保護しつつ、毎年344万円、月に28.6万円も受け取れることになります。(年金と倍近い差。。。)
いや、それでも。と年金制度を擁護してみる
ここで重要なのは、
年金は投資商品ではない という点です。
年金は「社会保険」であり、次のような役割を持っています。
- 長生きリスクを社会全体で分散
- 障害年金・遺族年金といった保険機能
- 市場が暴落してもゼロにならない
- 最低限の生活を下支えする仕組み
つまり、
- 期待リターン:低い
- 下方リスク耐性:非常に高い
という設計です。
投資と同じ土俵で
「儲かる・儲からない」を比較するのは、
そもそも役割が違うとも言えます。
(ここからは独り言ですが。。)
- 長生きリスクへの反論:上記の4%ルールで切り崩せば減るどころか増えてる可能性あるよね。。
- 保険機能への反論:完全類似の商品があるか調べたことないですが、掛け捨ての生命保険に近い民間保険に入った方が安上がりな可能性高くない?
- 暴落への反論:個別株はダメだけど、NISAの積立投資枠みたいに銘柄絞ってインデックス投資させとけば0はないでしょう。。
- 最低限の生活保障への反論:年金だけで生活できていない人もたくさんいますよね。。現役世代にとっては、完全に負担感に対してリターンが合っていない気がする。
インフレ時代に感じる「年金の弱さ」
さらに、ここ数年インフレ局面になっていますが、その点でも 年金に不安を感じるのも事実です。
実際、年金はインフレに弱い印象
- 年金には「マクロ経済スライド」があり、 物価や賃金が上がっても給付は自動的に抑制される
- 少子高齢化で、現役世代の負担を増やしにくい
- 結果として、年金受給者の 実質的な購買力は徐々に下がる
つまり、年金は、
名目額は守るが、実質価値は削られる
仕組みになっています。
なぜ投資はインフレに強いのか
一方、株式投資は構造的にインフレと相性が良いです。
- 物価上昇 → 売上増
- 名目GDP成長 → 企業利益に反映
- 株価は名目成長を取り込みやすい
特に長期では、
企業の成長=インフレ耐性になりやすい。
だからこそ、
年金だけに頼るのではなく、
投資でインフレリスクを補う
という発想が現実的になります。
国内投資が回れば、構造は良くなるのか
新NISA制度が始まり、S&P500やオルカンへの投資が活発化することによって、よく言われるのが、
投資マネーが海外に流れると円安が進み、
海外からの購買力が下がり、輸入品の物価高騰を招く
という点です。
日本人として、将来豊かな生活を守るためには、次のような循環を作ってほしいなと願うところです。
- 老後に向けた投資を優遇。可能な限り、国内企業に投資を促進
- 国内企業の資金調達がしやすくなり、企業も新しい技術にチャレンジできる
- 技術革新が生まれ、成長投資・賃上げが進む
- 結果的に国内企業の株価が上がる
- 年金の運用成績も向上
- 年金財政が安定する
ただ現実には、
- 家計金融資産は現金比率が高い
- 国内株は成長期待が低く見られがち
- 結果として海外株へ資金が向かいやすい
という課題もあります。(この辺りを政治の制度設計で頑張ってほしいところ。。)
結論:年金か投資か、ではない
この記事の結論はシンプルです。政治や制度は一般人の我々では変えようがないので、以下のようなことを理解して個人でできる行動をとるしかないです。
- 年金は「最低限の生活を守る保険」
- 投資は「インフレと長寿に備える手段」
- 年金だけで老後を完結させるのは、構造的に厳しい
- だからこそ、年金+投資の組み合わせが必要
年金を否定する必要はありません。
ただ、過信もしない。
個人が投資を通じて企業の成長を支え、
その果実が賃金や株価、そして年金にも返ってくる。
そんな循環を意識しながら、
自分のお金の置き場所を考えていきたいところです。